Our Focus

再生医療を高品質化する

医療用細胞の品質管理と製造の高精度化

Introduction

歩き出した再生医療

生きた細胞で治す夢の医療

再生医療は、これまで「治らなかった病」を「治る病」へ変えることができる驚異のポテンシャルを秘めた医療であり、これまで治すことのできなかった病気やけがを根治することにより、患者さんと、患者さんの家族など周りの方を劇的に幸せにすることができる「夢」の医療と期待されています。

再生医療は、「生きた細胞」を移植することによって、病気やけがが原因で機能が損なわれた組織や臓器を再生し、元の状態に回復させる医療です。その潜在的な適応範囲は広く、1. これまで治療法がなかった難病、2. 回復が見込めなかった脳梗塞や脊髄損傷などの後遺症、3. 継続治療が必須で肉体・時間・金銭的負担が大きい糖尿病などの慢性疾患、4. 臓器移植が必要な疾患、などの多くのアンメットメディカルニーズ (未だ満たされていない医療ニーズ) に応えられる治療法だと考えられています。

現在の医療においては、機能が損なわれた組織や臓器は、主に、低分子医薬品や医療機器によって治療されています。しかし、多くの低分子医薬品は痛みや不快な症状を取り除いたり、病気の進行を遅らせたりすることができる一方 (対症療法)、必ずしも根本治療ができるわけではありません。また心臓ペースメーカー、人工関節、人工透析などの医療機器は、損なわれた体の機能を補うことができますが、機器メンテナンスのための再手術や、高頻度の定期的治療が必要なことも少なくなく、患者さんの心身に大きな負担となっています。また、臓器移植は数少ない根本治療アプローチですが、今もなお深刻なドナー不足問題は解消されておらず、手術機会は少ないままです。

これまでの医療の進歩は長い人類の歴史とともにありましたが、それでもまだ満たされぬ医療ニーズが存在します。そんな患者さんの願いを叶えるために、再生医療の実現が世界中で待たれているのです。再生医療が目指すのは、患者さんが、病気を根本から治す医療を受ける機会に十分に恵まれる世界です。

国をあげた総力戦

再生医療への期待は非常に高く、我が国では、夢の医療の実現に向け産学官が協力して連携を強化しています。産業界では、参加企業250社を超える業界団体である再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)が中心となり、再生医療の早期普及、産業化のエコシステム構築、国際競争力の獲得へ向けて精力的に活動しています。学術領域では、日本再生医療学会を中心に研究レベルは世界をリードし、現在では研究成果を臨床へつなげる試みが推進されています。政策面では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED) により毎年150億円の巨額な研究開発費が予算化され、また国民が迅速かつ安全に再生医療を受けることができるようにするため、2014年に再生医療新法および改正薬事法が施行され、規制面においても大胆な法整備が行われています。また、再生医療の潜在的市場は、2030年に12兆円 (国内1兆円)、2050年に38兆円 (国内2.5兆円) と試算され、短期間の爆発的伸びが予測されています。

このように、多くのアンメットメディカルニーズを満たしうる再生医療は早期の実現が期待され、「TEAM JAPAN」として各界がバックアップ体制を構築し、国を挙げた総力戦として強力に推進する夢の医療なのです。

Issue

再生医療の重要課題

再生医療で用いる細胞医薬品は、「生きた細胞」で構成されています。そのため、低分子化合物から構成される従来の薬にはない特別な治療効果が発揮される一方、その取り扱いが難しいという性質があります。細胞医薬品を製造するためには、細胞の「培養」という工程が必要です。培養は細胞の種類に特有の生育環境で、細胞を、細胞医薬品として使用するのに必要な数まで増殖させることです。生きた細胞は非常に複雑なシステムであり、培養環境が変動すれば、それに応答し、その特性が変化します。細胞医薬品は生きた細胞を多数含んだ医薬品であるため、細胞の培養条件 (培地、足場など)、培養操作、培養工程などの培養環境の影響を受けやすく、ばらつきを生じやすいのです。「医薬品」として出荷される細胞製品は、そのばらつきが高度にコントロールされていなくてはなりません。

「細胞医薬品の品質に影響を与える細胞のばらつきをどう克服するか」は、再生医療の重要課題です。

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Solution

細胞ばらつきをコントロールする2つの技術

解決方法1 「細胞の品質管理の高精度化」

一つの解決方法は、細胞の品質管理を高精度化することです。

品質規格試験や工程内管理試験を高精度化できれば、細胞製造が正しくできているかを判定して、高品質な細胞製品だけを出荷することができます。しかし、細胞が正しく製造できたか否かを判定できる品質試験が明確でないケースは少なくありません。

当社の「細胞をはかる」技術では、高精度な1細胞レベルのトランスクリプトーム (全遺伝子発現) 解析技術と機械学習を活用しています。この技術は、日本が進める「再生医療実現プロジェクト」にて、国立研究開発法人理化学研究所とAMED により開発されました (プレスリリース)。当社の代表取締役はその開発の中心メンバーの一人です。この技術を用いることにより、細胞医薬品など、対象とする細胞集団がどのような細胞から構成されているのか、どのような指標遺伝子がその細胞の細胞特性を特徴づけているのかを正確に分析し決定することができます。この情報を用いることで、高精度な品質試験を立案することが可能となり、高品質な細胞製品だけを出荷でき、結果として、ばらつきの少ない生産・出荷体制の構築につながります。また、構築される安定的な生産・出荷体制により、余分なコストの圧縮にも貢献します。

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解決方法2 「細胞の製造の高精度化」

細胞製品のばらつきを解決するもう一つの方法は、製造時に生じるばらつきを、根本的に小さくすることです。上記のように、細胞の製造の良し悪しを精度良く判定できる指標が定まれば、その指標を活かすことで、細胞の製造工程である「培養」を改善していくことが可能になります。

当社の「細胞をはぐくむ」技術は、細胞の培養条件ハイスループットスクリーニングを活用します。溶液化学とロボットテクノロジーを用いて多数の培養条件を作出し、全遺伝子発現プロファイリングと機械学習により、精度よく、目的細胞をより活性の高い状態で増殖させる培養条件を探索します。条件の選定には、上記の「細胞をはかる」技術で同定した指標遺伝子が大いに役立ちます。創出した培養条件で培養を行うことによって、これまで継代を繰り返すことにより、機能活性や増殖性を失っていた細胞が、より長く、より多く、より安定的に増えることが可能になり、結果として、ばらつきが減り、ロット間差が小さい細胞製造につながります。また、ロットアウト品の解消や生産性の大幅な改良による製造コストの低減にも貢献します。本技術については、2019年現在、完成を目指して開発を進めています。

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目指すかたち

当社は、「細胞医薬品の品質に影響を与える細胞のばらつきをどう克服するか」という再生医療の重要課題を解決するために、上記の二つの解決方法を提案します。医療用細胞の品質管理と製造の高精度化を行うことによって構築される「細胞のばらつきを高度にコントロールできる品質管理・製造体制」により、再生医療の高品質化が可能になります。

当社は、再生医療の高品質化を積極的に進める製薬企業やベンチャー企業、再生医療の実用化を目指す大学等研究機関と連携し、事業を進めて参ります。

再生医療の高品質化事業についてご興味をおもちいただけましたら、Contactよりご連絡いただけますと幸いです。

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